#05【手引き】直筆サインの見分け方〜闇の魔術に対する防衛術〜

直筆サインを集め出す前に知っておくべきこと

インターネットの普及により,誰でも世界中の商品を購入できる時代に突入しました.日本でのマーケットは,オークションサイト「Yahoo!オークション(ヤフオク!)」が中心でしたが,スマートフォンの普及により,フリマアプリ「メルカリ」などでも取引が行われるようになりました.

残念なことに,掲示板サイト「5チャンネル」が「2チャンネル」だった頃から,インターネット上では偽サイン問題が取り上げられていました.10年以上もの間,偽サインに関して議論されてきたにも関わらず,偽サインの被害者が増加する一方です.

この記事が1人でも被害者を減らすキッカケになれば幸いです.

なぜ人々は偽サインを買い続けるのか?

直筆サイン自体,「高価な一点物」でありながら,「物にサインしただけ」という特殊な性質を持っています.つまり,原価数百円の写真にサインしただけで,数万円で売るという「闇の魔術」が人々の心を惑わせます.日本で偽サインを取り締まる際は,「詐欺」として立証する必要があり,普通はバレません.実店舗で販売するする際は,関係各所への登録が必要なので偽物の販売は難しいです.一方で,インターネット上であれば,売り逃げることが可能なので,悪い大人が集まるようになりました.

 

負のスパイラル
  1. インターネットの登場した
  2. 匿名でのやり取りが行われるようになった
  3. オークションサイトサイトの登場した
  4. 個人でも販売が可能になった
  5. 悪い大人が偽サインに目を付けた
  6. 売っても,偽物だとバレないことに気が付いた
  7. 偽物が偽者を引き寄せて,市場に偽物が溢れた
  8. 本物の直筆サインを探す方が難しくなった

 

オートグラフ市場はこのような流れで,商品のほとんどが偽物となり,本物を見つけ出すことが難しくなりました.多くの販売業者が詐欺師であることを知らないと,誰でも簡単に騙されてしまう恐ろしい世界です.詐欺師を減らすことは不可能なので,我々は防衛術を学ぶ必要があります.今からできる偽サインを買わない方法をご紹介します.

偽サインを買わないようになる方法

自己防衛の基本は,相手を知ることです.

1.販売者との接し方

悪質な販売業者の方が多いので,基本的には記載されている情報を嘘だと考えた方が安全です.まずは,会社名を検索してみるのが1番です.ユーザーファーストのGoogleのような検索エンジンを使えば,悪質な販売業者にとって不利な情報が出てくると思います.不審な情報が出てこなければ,その販売者がオートグラフを専門に扱っている業者かを確認しましょう.プロのオートグラフディーラーは独自の仕入れルートを持っており,買い取りを行っていない場合が多いです.中古品を販売している業者の場合,販売業者自身が本物を売っていると考えているケースもあるので注意が必要です.

2.価格について

例えば,ウォルトディズニーさんの直筆サインが1万円で販売されていたとします.初心者のオートグラフコレクターは,「ラッキー」と考えて即買いしてしまいます.ですが,少し考えればウォルトディズニーさんのサインを仕入れるとは非常に困難で,物によっては100万円しても不思議ではありません.非常に安価な場合は,詐欺ビジネスだと考えて,無視した方が良いです.掘り出し物とは,コレクターが亡くなって家族が売りに出した品物などを意味しており,安いから買うというのは危険な行為です.

謳い文句について

 

危険なワード
  • 偽物ではありません
  • 100%本物です
  • 直接サインをもらいました
  • 関係者からもらいました
  • 当選品です
  • ネットオークションで購入しました
  • 友人のコレクションです

 

どの言葉も魅力的ですね.相手が詐欺師なので,謳い文句は最高レベルです.オークションサイト「Yahoo!オークション(ヤフオク!)」に集まる詐欺師のなかには,「有名人名 直筆 サイン」のように「直筆」と「サイン」を別に記載する人がいます.彼らは,「このサインは私が書きました」という意味で「直筆 サイン」と記載し,有名人が書いたものと勘違いした購入者が悪いと言ってきます.相手はプロの詐欺師なので,時には騙されてしまいます.ですが,「100%本物です」という簡単な嘘には気が付きたいものです.

作品の見栄えについて

ハリウッドスターの場合であれば「写真」,サッカー選手だと「ユニフォーム」など,サインされる物にもある程度の規則性があります.同様に,高額で取引される商品にも規則性があります.例えば,映画のワンシーンであったり,ワールドカップのユニフォームなどは,ファンであれば欲しいと思うものです.

私の専門領域である「写真」の場合,オリジナルデータがあれば複製が可能です.1枚100円にサインするだけで,1万円の偽サイン商品を量産できます.同じセレブリティのサインや,幅広いジャンルの直筆サインを扱っている業者は,「売れる商品」だけを作成している可能性があります.

オークションサイト「Yahoo!オークション(ヤフオク!)」で横行しているのは,「サイン色紙」の詐欺です.日本には漫画やアニメというサブカルチャーがあり,漫画家や声優などを対象とした偽サインが書かれています.漫画家さんの多くは「○○さんへ」と名入れする場合が多く,イラストだけ描かれている商品は偽物だと考えた方が自然です.

返品について

プロのオートグラフディーラーは,基本的に「返品」を受け付けていません.なぜなら,偽物であることを証明されれば,「返金」するからです.返送される商品が偽物にすり替えられる可能性もあり,購入者都合の返品不可の店が多いです.

売った後のサポートを行わないお店の場合,「売り逃げ」を覚悟してください.偽物だと問い合わせても,返事が来ないまま終わる危険性があります.最悪のケースだと,詐欺集団に個人情報を売られ,他の商品を勧められるようになります.

まとめ

この記事では,偽物を買わないための知識を紹介しました.

本物の見分け方

本物の直筆サインと見極めるには高度なテクニックと経験数が必要になります.直筆サインの収集に慣れてきた方は,上級者向けの記事を読みに来てください.

「兄弟杖」の概念について

直筆サインの真贋判定の基本的な考え方をご紹介します.映画「ハリー・ポッター」シリーズには,「兄弟杖」という概念が存在します.主人公ハリーと宿敵ヴォルデモートの魔法の杖は同じ材料で作られており,一種の「繋がり」がありました.

私は,直筆サインにも「兄弟杖」の概念を継承できると考えています.サインをするのが人である以上,そこには「癖」が生まれます.例えばあるイベントでサインが行われた場合,数枚から数十枚のオートグラフが世界に誕生しますね.その1枚が真贋と認めれている場合,同時に書かれたサインにも同様の特徴があるかを確認すれば良いのです.

プロのオートグラフディーラーは,書かれた「日時」と「場所」をCOA(証明書)に記載するので,その「兄弟杖」を探せば,真贋判定の役に立ちます.そこで違和感を感じたら,第三者機関に真筆鑑定を依頼すれば良いのです.

 

その他の要因
  • 書かれた時期
  • 書かれた国
  • 共演者との関係
  • ペンの色や性質
  • もらう人の属性(年齢や性別など)
  • 書かれる物の属性

 

このように,本物を見分けるには研究が必要です.そこまで苦労したくない方は,「オートマニア ドットコム」さんや「フェーマス サイン&ポスターズ」さんなどで購入した方が良いと思います.数万円から数十万円という価格帯ですが,家宝になるのでその価値はあると思います.スポーツ関係のオートグラフはまた少し違うので,別の記事で紹介する予定です.

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