#03【手引き】日本国内での偽サイン事件のまとめ

2004年 中3女子生徒 モーニング娘。 ネット詐欺事件

概要

  • 日時:2004年11月22日
  • 管轄:大阪府警少年課
  • 犯人:大阪市の同じ中学校に通う14歳と15歳の3年生の女子生徒2人
  • 犯人:京都市の高校に通う16歳の1年生の女子生徒
  • 対象の有名人:アイドルグループ「モーニング娘。」
  • 対象の有名人:松浦亜弥さん
  • 判明経緯:中学校への匿名の電話がキッカケ
  • 被害者:22都道府県の63人
  • 被害金額:約120万円

事件内容

2004年6月から8月,女子生徒3人はコンビニなどで購入したアイドルのブロマイド(1枚150円)に偽のサインやコメント(「これからもヨろしくネ」など)を書き込み,オークションサイトに出品しました.

具体的な被害として,神奈川県の42歳の無職男性らから計約6万6000円を騙し取ったと報告されました.また,被害者の多くは20代から40代の男性で,殆どの購入者が偽物だと気が付かず,中には1人で55万円分も支払った人がいました.

 

 女子生徒3人は,「一度やってみると案外簡単にできた」などと話しており,容疑を認めました.彼女らは「モーニング娘。」のファンで,騙し取ったお金でコンサートなどのチケットを購入していました.
 

 

事件背景

2004年当時は,「ネット詐欺」として注目されていました.

2012年 AKB48 自称看護師 サイン捏造事件

概要

  • 日時:2012年12月14日
  • 管轄:兵庫県警姫路署
  • 犯人:姫路市の自称看護師の25歳女性の藤原志保容疑者
  • 対象の有名人:アイドルグループ「AKB48」
  • 判明経緯:2012年12月9日頃、偽造したサイン色紙のほかCDやグッズをオークションサイトに出品したことがキッカケ
  • 被害者:三重県伊賀市の62歳男性
  • 被害金額:約6万円

事件内容

自称看護師は「AKBが好きでCDやグッズを集めていた.余ったものを売ろうと思った」と話しており,容疑を認めました

 

事件背景

2012年当時,フリマアプリ「メルカリ」などがなく,個人間の取引はヤフーオークションが中心でした.

2013年 嵐 一家サイン偽造事件

概要

  • 日時:2013年11月6日
  • 管轄:千葉県警サイバー犯罪課
  • 犯人:大分県日田市に住むパート従業員の40歳の増田美幸容疑者
  • 犯人:事件当時19歳だった定時制高校1年の20歳の長女
  • 犯人:増田容疑者の元夫で51歳の私立高校臨時職員小田康策容疑者
  • 対象の有名人:アイドルグループ「嵐」「KAT-TUN」
  • 対象の有名人:アイドルグループ「KAT-TUN」
  • 対象の有名人:ジャニーズ
  • 対象の有名人:アイドルグループ「嵐」「KAT-TUN」
  • 対象の有名人:AKB48
  • 対象の有名人:俳優
  • 対象の有名人:声優
  • 対象の有名人:アナウンサー
  • 対象の有名人:スポーツ選手
  • 判明経緯:NEWSのメンバーの増田さんの発言がキッカケ
  • 被害者:香川県の23歳女性など
  • 被害金額:約400万円

事件内容

3人は2012年9月以降,アイドルグループ「嵐」や「KAT-TUN」などの偽サイン色紙等を携帯電話オークションサイト「モバオク」などに出品していました.逮捕容疑は,2012年9月頃から2013年2月頃の間,偽造したサイン色紙など9点を,神奈川県の23歳女性から9回にわたり合計8000円以上を振り込ませた疑いです.さらに,これまでに3300点あまりの偽サインなどを販売し,2012年6月から2013年3月までの間に約400万円を騙し取ったとされました.

この事件が明るみになったのは,NEWSのメンバーの増田さんが雑誌のインタビューで,「時間がなくてサインボールに俺だけサインできなかった!ごめんなさい!」と発言されたことがキッカケだと言われています.サインボールが存在していない事が明らかになり,落札されたサインボールが偽物だと判明し,事件が発覚しました.後に,警察がアイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんにも話を聞いており,「サインをした記憶が全くない」と証言されたそうです.

偽物の出来が精巧だったのか,購入者はいずれも本物と信じていたようで,販売実績が多いにもかかわらず被害届などは出されませんでした.しかし,千葉県警サイバー犯罪課が,ネット上の不審な取引などを監視するサイバーパトロールで,同じ人間が多数のサインを出品していることを確認し,事件に気が付きました.

捜査担当者は「ファン心理を利用した悪質な犯罪.被害者から提出を受け,所属事務所やタレントに本人のものか確認をしたところ,その後“本人が触ったのなら偽物でも返してほしい”という被害者もいた」と話しました.

容疑者は「生活費にするためにやった.インターネットで本物とされるサインを見て3人でまねて書いた」と話しており,容疑を認めました.増田容疑者と小田容疑者は2005年に結婚し11年に離婚しました.その後,離婚してからも3人は同居しており,家族で偽サインを制作していたと考えられました.

 

事件背景

2013年当時,モバイル端末の主流は携帯電話でした.

2014年 SKE48 偽サインボール事件

概要

  • 日時:2014年3月20日
  • 管轄:愛知県警千種署
  • 犯人:愛知県大治町の専門学校生の19歳男性
  • 対象の有名人:アイドルグループ「SKE48」:松井珠理奈さん
  • 判明経緯:落札した男性が筆跡から偽物と気が付き,愛知県警千種署に被害を届け出たことがキッカケ
  • 被害者:名古屋市千種区の37歳男性
  • 被害金額:1万5千円

事件内容

逮捕容疑は2014年2月10日,アイドルグループ「SKE48」の松井珠理奈さんの偽サイン入りゴムボールをインターネットオークションに出品し,名古屋市千種区の37歳男性から代金として1万5千円を騙し取った疑いです.容疑者は,アイドルグループ「SKE48」のコンサートでメンバーが観客に投げるサインボールに似せ,自分でサインを書き入れていました.彼は「遊ぶ金が欲しかった」などと話しており,容疑を認めました.

 

事件背景

ネット上では,アイドルグループ「SKE48」の松村香織さんによる,ネットオークションパトロールが逮捕のキッカケだとも言われました.

2014年 ももいろクローバーZ キス入り偽サイン事件

概要

  • 日時:2014年8月24日
  • 管轄:千葉県警サイバー犯罪対策課
  • 犯人:東京都渋谷区笹塚の32歳無職長沢昌広容疑者
  • 犯人:兵庫県尼崎市南武庫之荘の23際無職木村千瑛容疑者
  • 対象の有名人:アイドルグループ「ももいろクローバーZ」:玉井詩織さん
  • 判明経緯:2014年1月,千葉県警に匿名の人物から「ネット上に偽物が流れている」とメールが届いたことがキッカケ
  • 被害者:1000人
  • 被害金額:約3250万円

事件内容

2人の逮捕容疑は、2013年11月16日にアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の玉井詩織さんのサインを偽造、オークションサイトの「ヤフーオークション」に出品し,宇都宮市に住む看護師の21歳女性に落札させ、同26日に現金2万1700円を振り込ませ騙し取った疑いです.

匿名の通報を受けた千葉県警サイバー犯罪対策課が,サイバーパトロールで商品を発見し,芸能事務所や玉井さんに確認したところ,偽物と発覚しました.その後,両容疑者の自宅を捜索したところ,約300点の偽造品が発見させました.なんと,偽サインには「キスマーク」が付けられていました.

長沢容疑者は「販売したのは間違いないが,偽物とは知らなかった」などと話し,容疑を一部否認しました.一方,木村容疑者は容疑を認めました.サインの捏造は長沢容疑者が依頼し,木村容疑者が偽サインを作成する仕組みで行われていました.完成した偽サイングッズを長沢容疑者がネットオークションで1000円から20万円程度で売りさばき,2014年7月までの約3年間で,偽サイン入りレッスン着など合計約2600点をしました.被害者は1000名を超え,被害総額は約3250万円だと考えられました.なお,両容疑者はネットを介して知り合っており,面識がなかったとされました.

 

事件背景

警察に対して,所属事務所は「キスマークを入れたことはない」と答えたそうです.

2015年 偽サイン事件

概要

  • 日時:2015年7月2日
  • 管轄:福岡県警サイバー犯罪対策課
  • 犯人:愛知県春日井市,44歳会社員小林弘幸容疑者
  • 犯人:福岡県桂川町,54歳警備員鼻山善久容疑者
  • 対象の有名人:南野陽子さん
  • 対象の有名人:西内まりやさん
  • 対象の有名人:大場久美子さん
  • 対象の有名人:水樹奈々さん
  • 対象の有名人:剛力彩芽さん
  • 対象の有名人:※16名の女性芸能人
  • 判明経緯:違法なサイトや書き込みなどを監視する「サイバーパトロール」による発見がキッカケ
  • 被害者:名古屋市の男性,東京都町田市の男性,神戸市の男性など
  • 被害金額:500万円以上

事件内容

小林容疑者の逮捕容疑は2014年4月から8月,南野陽子さんや西内まりやさん,大場久美子さんら芸能人16人の偽サイン色紙をオークションに出品し,名古屋市の男性に売って約3万4千円を騙し取った疑いです.また,鼻山容疑者の逮捕容疑は2014年8月から9月,水樹奈々さんと剛力彩芽さんの偽サイン色紙を東京都町田市と神戸市の男性2人にそれぞれ売り,計6800円を騙し取った疑いです.

福岡県警サイバー犯罪対策課の情報によると,小林容疑者が出品したサインを鼻山容疑者が買ったことがキッカケで,2人は連絡を取り合うようになったことが明らかになりました.小林容疑者が偽のサインを書き,鼻山容疑者が仕入れていたとみられ,小林容疑者が1015件,鼻山容疑者が1385件の偽のサインを出品し,5年余りの間に約2000枚,合わせて500万円以上を売り上げていたと考えられました.

 

事件背景

サイバーパトロールが不正を発見しました.

2015年 NMB48 偽水着事件

概要

  • 日時:2015年9月1日
  • 管轄:千葉県警八千代署
  • 犯人:千葉県印西市の24歳高橋和也容疑者
  • 対象の有名人:アイドルグループ「NMB48」山本彩さん
  • 対象の有名人:アイドルグループ「NMB48」渡辺美優紀さん
  • 対象の有名人:アイドルグループ「NMB48」未成年メンバー1人
  • 判明経緯:サイバーパトロールがキッカケ
  • 被害者:さいたま市浦和区の無職59歳男性と山口県周南市の会社員59歳男性など
  • 被害金額:約270万円

事件内容

逮捕容疑は2014年11月頃、アイドルグループ「NMB48」メンバーらの偽サインを自ら書き込んだ女性用水着やショートパンツをインターネットオークションに出品,落札したさいたま市の59歳男性と山口県周南市の59歳男性から計約21万円を騙し取った疑いです.

高橋容疑者は「握手会のチケットや自分の服が欲しくてやった」と話しており,容疑を認めました.千葉県警八千代署の情報により,高橋容疑者は出品する際,「直筆サインが入った商品になります.本人着用品です」などと,嘘の説明をしていたことが明らかになりました.高橋容疑者による同様の偽造品の出品は,2014年10月頃から少なくとも約180件確認されました.

 

事件背景

この偽水着事件は,ネットやテレビで話題になりました.

2017年 君の名は。 偽サインがひどすぎて話題に

概要

  • 日時:2017年5月10日
  • 管轄:岡山県警
  • 犯人:東京都日野市の無職32歳工藤聡容疑者
  • 対象の有名人:新海誠監督
  • 対象の有名人:宮崎駿監督
  • 判明経緯:偽サイン色紙に気付いた新海氏が2016年9月,Twitterで「偽物です」とコメントしたことがキッカケ
  • 被害者:岡山県の34歳男性,愛知県の23歳男性
  • 被害金額:計2万5550円

事件内容

逮捕容疑は,2016年10月から11月,オークションサイトに映画監督の新海誠氏,映画監督の宮崎駿氏のイラスト入り偽サイン色紙を出品し,新海氏の色紙を岡山県の34歳男性に1万7000円で,宮崎氏の色紙を愛知県の23歳男性に7750円でそれぞれ落札させ,送料を含め計2万5550円を騙し取った疑いです.

工藤容疑者は「生活費や小遣いに使った」と話しており,容疑を認めました.工藤容疑者の自宅から約15枚の色紙が押収されました.また,オークションサイトには工藤容疑者のIDで他のアニメ映画など約280点のサイン色紙が出品も確認されました.

 

事件背景

2016年頃から,Twitter上で真贋判定が行われるようになりました.

2017年 被害額3000万円 6000人が被害に

概要

  • 日時:2017年11月7日
  • 管轄:宮城県警サイバー犯罪対策課
  • 犯人:仙台市青葉区宮町1丁目,29歳イベント企画業六波羅雄飛容疑者
  • 犯人:仙台市青葉区宮町1丁目,25歳遊技場従業員片岡まどか容疑者
  • 犯人:仙台市市太白区長町3丁目,69歳会社役員六波羅弘美容疑者
  • 犯人:仙台市青葉区金剛沢3丁目,31歳無職兼子雄太郎容疑者
  • 対象の有名人:石原さとみさん
  • 対象の有名人:音楽グループ「GReeeeN」
  • 判明経緯:サイバーパトロールがキッカケ
  • 被害者:約6000人
  • 被害金額:約3000万円

事件内容

逮捕容疑は,2016年10月から2017年6月,ネットオークションに女優の石原さとみさん、音楽グループ「GReeeeN(グリーン)」らのサインボールや色紙の偽物を「直筆」として出品し,北九州市門司区の48歳女性や埼玉県八潮市の35歳男性ら3人に落札させ,計約1万2千円を騙し取った疑いです.

六波羅容疑者以外の3人はいずれも仙台市居住です.その3人とは,交際相手の25歳女性片岡まどか容疑者、69歳母親の六波羅弘美容疑者,31歳友人の兼子雄太郎容疑者です.六波羅弘美容疑者は認否を留保し、他の3人は否認しました.その際,六波羅容疑者は「サインは自分が書いた.(偽物であっても)ファンが喜んでいるのでサイン本来の目的を果たしており,詐欺ではない」などと話しました.

宮城県警サイバー犯罪対策課と岩沼署の「サイバーパトロール」で不自然な出品を確認され,警察官が出品物を実際に購入し,芸能事務所に鑑定を依頼したところ,サインが偽物だと判明しました.また,2016年の1年間で1万4000点を約6000人に販売し3000万円以上,4,5年前から同様手口でおよそ1億円を騙し取っていたと考えられました.

 

事件背景

2017年に起きた,日本国内では最大規模の偽サイン事件です.

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